定期保険4

定期保険の説明から確率論の話となり、有配当保険と免責条項で、たくさん述べてしまいました。定期保険4においては、再び保険契約の基本的な数理に話を戻します。
定期保険1において、保険契約は死亡保険金1000万円で死亡率1%だと保険料10万円という期待値の話をしました。

でも、そんなに単純じゃないよ、ということで
・ 保険会社にも利益が必要
・ 保険契約のためのコストがある
・ 1年間だけの保険だけでなく、5年契約、10年契約、20年契約などあり
・ 長い期間だと途中で死亡率が上昇していく。それでも保険料を一定にするためには。
・ 掛け捨ての保険だけでなく、貯蓄性のある保険もある。金利も考えないと・・
というような要因を挙げました。

これらについて、生命保険契約の「三利源」「四利源」の話をしたいと思います。
保険契約を設計するためには以下の数値を使います。
・ 基本的な確率
・ 契約締結、契約維持のための費用
・ 金利
・ 解約率

これらを設定して保険数理人(アクチュアリ)が保険料を計算します。
死亡率というのは厚生労働省の人口問題研究所が統計調査を続けており、生命表というものを発表しています

平成18年簡易生命表

 

男性

女性

年齢

生存数

死亡数

死亡率

平均余命

生存数

死亡数

死亡率

平均余命

0

100,000

388

0.00388

79.00

100,000

339

0.00339

85.81

5

99,612

57

0.00057

74.30

99,661

45

0.00045

81.10

10

99,555

58

0.00058

69.34

99,616

38

0.00038

76.13

15

99,497

180

0.00181

64.38

99,578

89

0.00089

71.16

20

99,317

291

0.00293

59.49

99,489

143

0.00144

66.22

25

99,026

326

0.00329

54.66

99,346

168

0.00169

61.31

30

98,700

384

0.00389

49.83

99,178

200

0.00202

56.41

35

98,316

528

0.00537

45.02

98,978

289

0.00292

51.52

40

97,788

811

0.00829

40.25

98,689

431

0.00437

46.66

45

96,977

1,291

0.01331

35.56

98,258

659

0.00671

41.86

50

95,686

1,981

0.02070

31.00

97,599

992

0.01016

37.12

55

93,705

3,070

0.03276

26.60

96,607

1,420

0.01470

32.48

60

90,635

4,500

0.04965

22.41

95,187

1,927

0.02024

27.92

65

86,135

6,276

0.07286

18.45

93,260

2,931

0.03143

23.44

70

79,859

9,524

0.11926

14.69

90,329

4,817

0.05333

19.12

75

70,335

13,875

0.19727

11.31

85,512

8,026

0.09386

15.04

80

56,460

17,504

0.31002

8.45

77,486

13,505

0.17429

11.32

85

38,956

18,345

0.47092

6.09

63,981

20,092

0.31403

8.13

90

20,611

13,312

0.64587

4.32

43,889

21,995

0.50115

5.66

95

7,299

5,819

0.79723

3.08

21,894

15,194

0.69398

3.88

100

1,480

1,342

0.90676

2.20

6,700

5,734

0.85582

2.63

105-

138

138

1.00000

1.57

966

966

1.00000

1.76

オリジナルの表では1歳ごとに数字が出ていますが、少し簡略化して5年毎で表しました。男性10万人が生まれたとすると、5歳になるまでに388人が亡くなって、99,612人になる、そのように表を読みます。20歳の男性99,317人が30歳には98,700人になり、その間に617人亡くなる。20歳から29歳までの10年間の死亡率は、0.62%と計算されます。
各年齢における「平均余命」が計算されています。そして、0歳の人の平均余命を「平均寿命」と言います。ですから、50歳の男性が、「平均寿命が79歳だから、あと29年か・・」と言うのは実は間違いでして、50歳の男性の平均余命は31年ですから、81歳という、もっと長生きする前提で老後資金プランを立てなければならないのです。
生命保険会社は、この厚生労働省の生命表も参考にしつつ、自社の死亡データも考慮した生命表を作成し、これに多少の「プレミアム(のりしろ)」をつけて生命保険契約の計算をしています。

かつては、生命表は業界で統一されていました。旧大蔵省が規制・指導していた賜物です。
近年、生命保険会社間の競争が激しくり、金融庁の縛りが少しずつ緩和されてきています。前提とする死亡率を小さめに計算することで安い保険料を設定し、競争力を高めるという動きが起き始めています。
 
ところが、
・ 設定した確率ほど保険事故(死亡、入院、要介護状態など)が起きなかった
・ 設定したほど費用支出がなかった
・ 設定した金利以上で資産運用できた
・ 設定した以上に解約があった
場合には、有配当契約であれば契約者に配当して返しますが、無配当契約であれば保険会社に利益が残ることになります。

日本人の平均寿命が伸びているというのはご存知の通りですが、このことは生命保険会社にとっては、
 死亡率が減少している
ということになります。

そのため、戦後生命保険会社には、想定ほどの死亡がなかったということで毎年利益が残りました。これを死差益と呼びます。(この死差益って、保険業界以外の人にとっては、ドキっとするような響きがありますね。)

定期保険1

生命保険には、たくさん種類があるように思われますが、いくつかの視点で分類することができますので、恐くないです。

まず、お金の出る事由で分けると、
・ 死亡保険
・ 入院保険
・ 介護保険
・ その他
となります。
(年金保険が入っていませんね。これはちょっと特殊なので今は除いておきます。)

保険料というのは基本的には確率で決まってきます。昔、数学で「期待値」というのを勉強したことがあるかと思います。ある年の死亡率が1%で保険金が1000万円だとすれば、1000万円の1%、すなわち10万円が年間保険料となります。

掛け捨ての保険というのは基本的にこれだけのことなのです。
生命保険会社はいろいろな確率のデータを持っています。死亡の確率、入院の確率、介護状態になる確率など。それらに応じて保険料を算出します。

各保険会社には数理部というような部署があり、保険数理人(アクチュアリ)と呼ばれる人がその部署にいます。保険数理人の試験はかなり難しい数学が主です。大学の理学部数学科を卒業したような人たちじゃないと合格ムリって感じです。

どうして難しい数学が必要になるかと言うと、1000万円の1%で10万円。はい保険料10万円よろしく、というわけにはいきません。なぜなら・・
・ 保険会社にも利益が必要
・ 保険契約のためのコストがある
・ 1年間だけの保険だけでなく、5年契約、10年契約、20年契約などあり
・ 長い期間だと途中で死亡率が上昇していく。それでも保険料を一定にするためには。
・ 掛け捨ての保険だけでなく、貯蓄性のある保険もある。金利も考えないと・・

というような要因に対してきちんと考慮して保険料を決めないといけないからです。

しかし、確率論どおりにいきますかねぇ。という疑問が起きますね。

例えば死亡についてはかなり確率論どおりになります。でも、疫病が発生したり、大規模な災害が起きたりする可能性もありますね。

そのために保険会社はふたつの方法で対策しています。
 その1 保険料を高めに設定する
 その2 免責事項を設ける

対策その1は、保険料を高めに設定する方法です。なんて単純な! と怒られそうですが、保険料を高めに設定すると基本的には保険会社にお金が余っていきます。これを契約者に「配当金」という形で分配するのです。そうすると文句はないですよね。

この配当金が出る保険。有配当保険。これって、全労災のような共済とか、歴史の長い保険会社(漢字系の名前の会社が多い)、特に相互会社と呼ばれる保険会社には多いです。この相互会社というのは生命保険会社だけに許された会社形態でして、契約者が株主と似た立場になり配当を受ける権利を持ちます。株式会社の株主と同様、会社の経営にもかかわることが(一応)できます。

外資系を中心とした新しい保険会社(カタカナ系の名前の会社が多い)や、損害保険会社が子会社として設立した生命保険会社(ひらがな系の名前の会社が多い)は、株式会社で無配当保険を中心に販売しています。

(「定期保険2」に続く)

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