持ち家購入は一世一代の不動産投資 粹
自宅を購入する場合に、
・家族の状況や外部環境の変化(転勤など)により、引越しせざるを得ない場合はどうするか
・不動産投資として、キャピタルゲイン(またはロス)や、賃貸の家賃はどの程度を見込むか
ということは最低限考えなければならないと思う。ファイナンシャルプランナー(FP)としてアドバイスしようとするが、ハウスメーカーのイメージ戦術にノックアウトされている人にとっては、そんなことを考える余裕がないことが多い。
かつては「住宅すごろく」などと3度くらいの住み替えが当たり前だったが、地価が一貫して上がる社会状況でない限り住宅すごろくは成立しない。
ところで、「帰属家賃」という言葉をご存知だろうか。GDP(国内総生産)を計算する場合に、賃貸住宅から持ち家に住み替えると家賃支払が減ることによって国民総支出が減ってしまう。そこで、帰属家賃という実際のお金の出入りがない支出および収入を計算する。
持ち家の人の収入に帰属家賃を加え、支出に帰属家賃を加える。自分がオーナーになって、自分から家賃を徴収するのである。住むために相場の家賃を払うことになる。
(この帰属家賃収入には所得税がかからない。GDPの10%超の収入が免税されていることの矛盾とし、税収を確保したい財務省、国税庁は帰属家賃に課税することを検討してきている。しかし、「持ち家保有者への制裁金」というメッセージとなりかねないので見送られている。)
「賃貸VS持ち家」を考える場合には、この「帰属家賃」の考え方を導入することが必要である。
すなわち、自宅を購入するとは、
「不動産投資と賃貸経営を同時に始める」
ということなのだ。
「金持ち父さん貧乏父さん」がベストセラーになって、ワンルームマンション投資やアパート投資を行う人が増えた。そんな人たちのことを「よくそんな大それたことができるなぁ」と斜めに見ている人も、実は同様の不動産投資を行っているのである。
サラリーマンの生涯年収は、2~3億円。所得税や社会保険で例えば2割控除されるとすれば、1.6~2.4億円の可処分所得。首都圏でまともな新築家屋、新築マンションなら4000万はする。ほとんどをローン支払とするなら総支払額は6000万円近くになる。生涯可処分所得の25~35%を1枚のコインにしてルーレットの「1点賭け」するという一世一代の大バクチなのだ。
帰属収入に所得税はかからないものの、賃貸だったら大家さんが負担してくれる固定資産税、修繕費、減価償却費を自ら負担しなければならない。日本の住居の平均耐用年数は35年。ローン支払が終了したら上物の居住価値は残っていても、資産としての評価価値はゼロで、地べた分のみが評価される。